「世界のどこかで、手を当てる」──ベトナム施術レポート備忘録

はじめに──まんぷく整骨院の治療家、ベトナムに立つ

「ベトナムで施術してみませんか?」──そんな一言から、今回の物語は始まりました。
ふだんは千葉県で訪問鍼灸を行っている私が、異国の地で日本の治療文化を届けるというチャレンジに乗り出すことになるとは。
この旅は、笑いと感動に満ち、施術と冒険が交錯した濃密な4日間。
そしてなにより、同行してくださった江口社長──長年の経験と、現場での深い気づきに満ちたその背中を見ながら学び続けた旅でもありました。
通訳のチャムさん、現地の治療サロン「粋(いき)」の方々、お寺のご住職、そしてベトナムの街と人たち。
ここに、すべてを記録しておきます。
Day1:渡越──笑いと汗の歓迎セレモニー

2023年9月12日。成田空港からJAL便で、いざホーチミンへ。
到着すると、空港は熱気とバイクの洪水。とにかく湿気がすごい。「これは…カラダが溶けるぞ」と早くも服が背中に張りつく。
そこへ爽やかな笑顔のチャムさん登場。「オガサワラサン!コンニチハ!」と元気よく手を振ってくれた。
まんぷく海賊団、ベトナム初上陸である。
粋(IKI)との出会い

午後は、日本人経営の治療サロン「粋」へ。ここで、日本式の施術スタイルを伝えるというのが今回の大きな目的のひとつ。
内装はシンプルながら丁寧で、日本の整骨院の空気感があった。スタッフの皆さんも日本語が堪能で、こちらの治療スタイルに興味津々。
施術の実演では、江口先生の手技の正確さと、相手の緊張を解く言葉がけに、思わず見惚れてしまった。
「技術よりも相手を見よ」
その言葉が胸に刺さった。
夜の食事会

ベトナム料理で有名なレストランへ。
・空芯菜のニンニク炒め
・揚げ春巻き
・バインセオ(ベトナム風お好み焼き)
・そして謎の葉っぱ料理
とにかく全部美味い。そして全部ビールに合う。
江口先生:「ビールは文化だね」
…名言いただきました。
Day2:祈りの中で手を当てる──お寺での施術

朝6時、ホテルのバイキングで納豆とフォーを並べて食べる不思議な体験。
江口先生:「納豆、こっちでも案外うまいな」
そのコメントを聞きながら、私は心の中で「納豆は世界を救う」とメモした。
お寺での出会い

この日の施術依頼は、まさかの「寺院」。現地のご住職が脳梗塞を患って以来、ほとんど外に出ることもできず、寝たきりに近い状態だという。
境内に入ると、どこからともなくお香の匂い。静寂と湿気の中で、私たちは車椅子に座るご住職と対面した。
江口先生が穏やかに挨拶し、私も深く頭を下げて施術に入る。
手足は固く緊張していたが、施術の後半には指先がゆるみ、顔にやわらかい表情が戻った。
通訳を通じて「ありがとう」と言われたとき、不覚にも少し目頭が熱くなってしまった。
この仕事は、人の「今」に寄り添うことなんだと、改めて感じさせられた。
午後はベトナムコーヒーと街歩き

午後はチャムさんに案内され、カフェへ。
ベトナムコーヒー──とにかく甘い。コンデンスミルクがこれでもかというほど入っている。だがそれが良い。
江口先生:「これはもう、飲むデザートだな」
その後は市場や雑貨店を回りながら、地元の人たちとのふれあいを楽しんだ。
バイクが鳴り響く雑踏の中、ベトナムのエネルギーに圧倒されながらも、街の鼓動に馴染んでいく感覚があった。
Day3:ローカルに溶ける、そして切られる

朝はベトナム庶民の味──フォー。鶏出汁の透明スープに、ライムと唐辛子を加えると絶品。
江口先生は3分で完食。
ベンタイン市場でサンダル探し

午後は自由時間。市場を歩いていると、呼び込みの声が次々にかかる。
「ニイサン!ミテクダサーイ!」
そこで発見したのが、ギリギリアウトな「GU〇CI風しんちゃんTシャツ。」
チャムさん:「先生、それはやめといたほうがいいです」
仕方なく諦め、家族用にカラフルなサンダルを爆買いした。
ベトナムの床屋にて

そして…なぜか流れで床屋に入店。
「カット?OK OK!」
言われるがままに席に座り、現地スタッフと笑顔でやりとりしながら、なぜかカット+肩マッサージ+耳掃除までコースに入っていた。
私:「……これは、やるしかない」
結果:まさかのツーブロック風に。
いや、これも文化体験だ。
夜は屋台でバインミーとビール。どこまでも満ち足りた1日だった。
Day4:空から見えたもの

帰国便は夜6時台のJAL。
窓の外、まだ夕焼けが空に浮かぶホーチミンの街。あの喧騒も、光も、すべてが夢だったかのように遠ざかっていく。
機内で江口先生が渡してくれたのは、前夜の集合写真。

──みんな笑っていた。
この4日間、たった数日のことなのに、心の奥に深く残るものばかりだった。
人の身体に触れるという行為は、どこに行っても共通で、そしてとても尊い。
手を通して伝わるものが、国や文化を超えることを、私はこの旅で学んだ。
おわりに──また来るよ、ベトナム
帰ってきた今、あの空気、あの匂い、あの人の目を思い出す。
次に来るときは、もっと技術を磨いて、もっと笑顔で、もっと多くの「ありがとう」を受け取れるようになりたい。
そしてそのときもまた、江口先生と一緒に旅ができたら──それは、何よりのご褒美だと思う。
ありがとう、ベトナム。また、会いましょう。
──完。




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